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1、文型の複雑な働き
初級で習う言い方と、中級で学ぶ言い方のちがいは単語そのもののもつ意味(語彙)による場合もありますが、文法や文型の働きの違いによる場合もたくさんあります。では、例を挙げて、中級文型の特徴についてもう少し見てみましょう。
ここでは、理由を表す言葉を例にとりあげて説明してみます。初級の文型では
(1)「暑いから、窓を開ける。」
(2)「暑いから、窓を開けて寝る。」
もように、理由の「から」をよく使います。けれども、中級の後半になると、もう少し言葉をつなげた次のような文型がでてきます。
(3)暑いからといって、窓を開けて寝るわけにはいかない。
この「からといって」という文型は「から」に比べるよ複雑です。「から」という言葉で理由を表します。そして、「といって」の部分で「暑いから」という文の内容全体を受けます。そして、「しかし、それはできない。」と打ち消します。
(4)暑いから、窓を開けて寝る。
(5)暑いからといって、窓を開けて寝るわけにはいかない。
このようなわけですから、「からといって」の文では、文の終わりに部分否定の言い方がよく使われます。「わけではない」や「とはかぎらない」などです。
(6)祭日だから、休める。
(7)祭日だからといって、休めるわけではない。
この文も同じように文型が二重の構造になっています。
もう少し他の例を見ましょう。
(8)山田さんともあろう人が、こんな大切な時に遅れるとは困るじゃありませんか。
(9)次朗ともあろうものが、なんでこんな成績をとったんだ。
「ともあろう人が」は「さんのことを普段は高く評価しているが、今度のこのことについては非難している」というような意味をもっています。したがって、話題の人(ここでは、山田さん、次朗)に対する話す人の高い評価があり、後に続く文に非難の意味が込められるということになります。この文型にはこのように複雑な制約がありますが、上手に使えば、話す人の単純ではない気持ちを効果的に表すことができます。
以上、二つの例を挙げて説明しましたが、このように中級で出てくる文型は複雑です。しかし、この複雑な構文を使うことによって、人の気持ちだけでなく、入り組んだ論詣の文を論理的に書くことも可能になるのです。
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